光のポハク POHAKU'OLAKUKUI

プレアデスの光・ポハクの超時空大冒険

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誕生秘話 1

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  1. 2007/02/08(木) 06:02:47|
  2. 誕生秘話 
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誕生秘話 2

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大ふくろうの意識とひとつになったノエアウは月夜の天空を駆け、星の一族の住む島の内陸部へと向かった。蒼く柔らかな光は、乾いた大地をおぼろに照らし、眼下に集落の明かりがちらちらと見えて来る。一気に高度を下げて、長老ホオクイの小屋の窓辺に降り立つと、懐かしい姿がそこにあった。

「ほおっ!よう来たなあ! 一体どんな格好で来るのかとは思っておったがそうか、こいつを使う手があったわなぁ...」

小柄な老人の相好を崩して延べるその腕に大ふくろうはちょんと乗り移る。大きな二つの目は今やホオクイの瞳の奥をジーッと見詰めていた。

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「そうか、やはりそういうことじゃったか、兄弟。早速、なるだけ大人数で駆けつけるとしよう。なぁに、モアを使えばすぐじゃて。」

腕を持ち上げてさらに老人は尋ねる。
  
「ところでお前さんはこれから、月の連中の所へ飛ぶんかいな?」

大ふくろうは既に月光冴え渡る、蒼に点となっていた。
 
太陽族の集落はこの島の北部に位置し、中央部の星族と東部海岸の月族の集落とはマウナケアを囲むように正三角形の配置をなしている。これは光り降り注ぐ山を守る結界であり、大ふくろうの意識を使うノエアウは、日星月の順に反時計回りで飛行していることに注意すべきである。

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深夜ひそかに日の集落を発ったラニは愛犬ケオを伴え、薄らに白む広大な丘陵地帯を山へ向かって歩んでいる。夜露に濡れる草原に延びる道は、星族の集落へと続くけれど、その途上に、聖なる山に至る巡礼の小径の起点があるのだ。人々はそこを光の御簾と呼んだ。

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ひんやりとした感触を踏みしめながらラニは赤く染まる東の空を眺めて反転、西の地平に沈まんとするマカレイ(すばる或いはプレアデス星団)を仰ぐ。
  
「あなたが次に上がるころには一体、私たちはどこまで進んでいるのかしら...」
 
マカレイが日没と同時に東の水平線上に現れ、一晩天球をめぐって日の出前、西へ沈んで行くこの時期は、太母クプアの指摘通り、まさに封印が解かれるためにはうってつけの季節なのである。

すばるの光に洗われて
  いてつく粉で磨かれて
寝太郎ようやく目が覚めて
  大きなあくびも出てきます
  その時お日様飛び込んで
  光の皇子さんおはようさん

折り重なる丘陵を縫うなだらかな坂を上り詰めた時、なんと目の前に息を呑む雄大な風景が広がった。

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「ケオごらん!お日様は私たちの立つべきところをはっきりと示してくれているわ!!」
 
遥か彼方、白き頂は真っ先に朝日を浴びて、金色に輝く万年雪がそのまま溶けて山肌をゆっくりと下るように見える。朝だ。
 
一方ふくろうの身を借りたノエアウは湿った大気の中を飛行している。地上は濃い緑に覆われだした。月族は雨の多いこの森の中に住んでいるため、上空から集落のありかを知ることは難しい。しかし、見よ!前方それほど遠くはないところに細く一筋の狼煙が上がっている!
 それに沿って降下してゆくと樹木の隙間からこちらを嬉しそうに見上げている老人の姿を夜目千里眼が捉えた。間違いない月族の長老カラカムラである。

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「兄弟!こっちじゃ、こっちじゃ!待っておったぞ!さあ、詳しく教えておくれ。」
 
もちろんカラカムラも救援の約束をしてくれた。こちらからはカヌーに乗せて、できるだけの多人数を日の集落に向かわせるという。
 
この島の南部こそが侵略者たちにとって格好の上陸先であるはずが、この時代、盛んに光噴く山がマグマを吹き上げ、大量の溶岩が島の南部の海岸線に沿って広く海に流れ込んでいることをカパアは知っていた。その上、”速やかなる侵略”このたったひとつの目的のために彼は、直接島の北側へ回り込み、一気呵成に日の一族の奴隷化もしくは殲滅を企てている。これがホオクイ、カラカムラ、ノエアウ三賢者共通の見解である。よって、日の集落に皆が結集することに疑いの余地はなかった。

ナギサニユレルハ カハタレドキヨ
 アロハミチキテ シオニイリ
 ノボルヒカリヲ ノミコミテ
 ウタエコノウタ アメツチノ
 ナベテミナコレ スマルウタ

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太陽の一族の人々はノエアウの暗示に従い、来るべき日に備え、毎朝いにしえの作法に倣い、心身の浄化に努めていた。
 
アメツチニ イキトシイケル モノミナハ
 ミナソノママニ ミスマルノ
 ウツクシキ ミタマナリ 





ラニとケオが光のゲイトに到着したのは出発から3日目のことで、その途中まったく眠気をもよおさなかったことに今更ながら驚いた。
 
「ケオ、あなた大丈夫?」
 
すべすべとした巨大な岩石でできたゲイトを見上げながら、今まで一体幾人の巡礼者たちがこのゲイトをくぐって行ったのだろうかとラニのこころは遥か太古の文明に馳せていた。

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「こんな石どこから持ってきたのかしら?それにぜんぜん継ぎ目が見当たらない。もちろんイマリ先生のような方がマナの力を使って造ったものには違いないんだろうけれど...」
 
クプアから、そのゲイトが途方もない昔から存在していることや、かつてそれがムー大陸の最高峰の山頂聖域への入り口であったことなどを聞かされていた。つまりこの山はそのほとんどが海中に没しているのである。





一方、首尾よく星族・月族への救援の依頼を成し遂げたノエアウはふくろうの意識を呼び起こす。

「ご苦労さんじゃった、久しぶりに空を飛んだが気持ちいいもんじゃ。さあ戻っておいで。」

同時に自分の人間としての肉体を意識することで元通りの体に戻った。今、賢者は集落の浜辺に在り、ポセイドンをはじめとした多くのイルカたちとテレパシックコンタクトをとっているところである。

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生命体としての姿形は全く違う種ではあるものの実はこのイルカたちとこの島の人間の祖先には大きな縁故がある。テレパシックコンタクトは実際のところ声なき声で意思疎通を図るのではなく、言葉として変換される前の段階において、思念をやり取りすること、いや、やり取りが勝手に進む事なので、ほとんど無意識の活動であり、さらにコミュニケーション自体は瞬時に完了してしまう。

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ラニとケオは光のゲイトをくぐり、いよいよ次なる目標地点‘岩の宿’を目指す。クプアによれば、そこがちょうど森林限界であり、ラニにとってそれ以降の様子は、想像だにされえない全くの異界であった。日のあるうちはひたすらに聖なる道の跡を辿る。空腹を感じたとたん道端に木の実や野いちごが目に留まり、のどが渇くと雨が降った。ケオはよく“飛べない鳥”を獲って食べた。アロハの働きをラニはよく理解していたのである。
 
標高があがるにつれ肌寒くなってくる。夜ともなればめっきり冷え込んで、ケオにくるまれ暖かに休む吾身の幸福を感謝せずにはいられぬラニだった。そしてそんな彼女を見守るかのようにすばるは一晩中天球を巡った。

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一方、準備の整った星族の人々はムアにまたがり日の集落目指して出発した。
 当時この島にはまだ数種の古代生物が息づいており、それらはみな、水難直前に、この聖なる山の高みへと集まってきた動物たちの後裔である。星族の人々は内陸の広大な草原地帯を行く際、この疾走する巨鳥を好んで使った。ムアとはムー大陸とその鳴き声にちなんだ呼び名である。

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光のゲイトをくぐってから7日目、ラニとケオはようやく目標地点に到着した。

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「ここが岩の宿と呼ばれた盆地だわ。ケオいよいよ本番よ!」
 
とみに石くれだった地面に細々とのびる小径の行く果てを眺めながら、しばらく沈黙を保っていたラニの顔がぱあっと明るくなった。
 
「ケオ、不思議でしょ!私に起こったことを太母さんに教えてもらってから、分かるのよ!その時々に何をすべきか、それがどういう意味なのかそしてどうなるのかがみんな分かっちゃうのよ!でもね面白いことにそれはあるポイントから次のポイントまでまでのことで、それから先のことは実際にそこへ行ってみないことには分からないの。 ここからは、宙に浮かんでいる不思議な石が道しるべなのよ。昔々の大昔、山頂を目指した偉大な神官が「浮かぶ!」と命じたままに今でも変わらず道を示してくれているのよ。ほら気をつけて見てちょうだい、丸い石がところどころに浮かんでいるでしょ。それを辿ってゆくとその先に湖があるのよ。雨も降らない雲の遥か上の世界にね!その名前は、えーっと、えーっと青の...青の...そう、青の鏡!青の鏡と昔の人たちは呼んでいたっ! ここから3日で着けるわ!」
 
ケオの背に積んであった羽毛のマントで身をくるみラニは表情を引き締めた。
 
「寒くなるけれどあなたは大丈夫ね、ケオ!」

次第にその足取りはゆっくとしたものになってゆく。 時おり立ち止まっては回りに広がる景色の壮大さに息を呑んだ。雲海はどんどんと低くなり、それにつれて見晴るかす範囲がますます広がった。無辺を思わせる広がりの向こうにうっすらと水平線が柔らかに湾曲しているのも面白い。高く上れば上るほどに世界が広がって、人間の知るすべてを見下ろすかのように超越感が強まってゆく。もちろん空気は薄くなり、それにつれてさらに透き通ってゆくが、不思議とラニは息苦しさを感じない。
ただ、光が信じられないほど眩しかった。

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もうすっかり草木の姿は見かけない。しかし相変わらずいつも少し前方に小石がふわふわと浮かんでいた。 いにしえの巡礼者たちの辿った道筋がもはや判然としないのはきっと厳しい高山の気候のせいだろう。そしてこの領域に達することができずにあきらめた者たちも多かったに違いない。 しかしラニとケオに吹き付ける風さえもまったくなく、寧ろ身をくるむ羽毛のマントを広げて火照る体をひんやりとした空気にさらすことがしばしばであった。もはや雨とは無縁の乾ききった世界。マカカの実をくり貫いた水筒に蓄えた水の音が響いている。あらためてラニはアロハの導きを体感し、信頼を深め、そして幸せっだった。

 「私は別に何も要らない。ただ、今がとっても幸せなの。お父さんとお母さんが死んでしまったときには到底分からなかったけれども、いつでも私は幸せだったのよ、そうでしょケオ、あなたそう思わない?」
 
どうしてこの山が聖なるところで、太古の昔から多くの巡礼者たちが集ったところなのかがよく分かる。一歩一歩踏みしめるその足音が全身に響き渡り、こころは恍惚の色合いに染め抜かれる。
 
「不幸ってなんだったのかしら・・・」

ラニの瞳はますます輝いて、光降る山の偉大さを噛みしめていた。いよいよ青の鏡が目前に迫っている。

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月族の人々はカラカムラの呼びかけにこたえ、ありったけのカヌーを総動員し北上開始。コアの大木から掘り出したこれらのカヌーは紺碧の波頭を突き通しながら海上を滑るように進んでゆく。
 船頭の掛け声に合わせて皆がぴたりと呼吸をあわせ、櫂をこぐさまは実に壮観である。
  




「ワーッ、綺麗!」

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目に染み入る空の青がそのままに水面に映っている。赤茶け風化した岩だらけの風景にひときわ翡翠のように浮かび上がる。そしてその向こうに、真っ白な世界が広がっていた。
ラニとケオはいよいよ、巡礼者たちが青の鏡と呼んだ雲の上の湖に到着したのである。南洋に浮かぶ島とはいえ、さすがにこの高みへとったするならば、空気はぴーんと張り詰めて身を切るような寒さとなって来る。ここから先は万年雪に覆われ、いくばくかの寒暖の差によって溶け出た水が蓄えられてできたものである。遠目には青く静まっていたその湖面も次第に近づくにつれてさざなみが風になびいているのが分かる。湖岸に積み上げられたケルンを最後に今まで道しるべとなってくれた宙に浮かぶ石はそこから先にはもう見当たらない。今や山頂は目と鼻の先であり、もはや迷うすべもあるはずもなかった。ラニはひときわ吹き付ける一陣の風に目を細め深く息をついた。青の鏡に真っ白な頂が映っている。

「さあ、ここからはどうしたらいいの...」

しばしぼんやりと岸辺にたたずんでいたラニは傍らでがぶがぶと水を飲ぬむケオに気づいて微笑みかけた。

「ケオ、ここでは水浴びよ。この湖水で心身を完全に清めてから山頂域に入ってゆくの。その清め方はね...」

ラニは屈託なく今この瞬間に理解したところを呟いた。

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「まずは両手を洗い、両足を洗う。そしてお口をすすいでから左手でお臍を軽く押さえるのね。で、右手で水をすくい上げて頭の上から少しずつ垂らすのよ。そのときには目を閉じて長く静かにウーッと発声するの。繰り返すこと3回。これが山頂域に入る前になされるしきたりなのよ。その時に初めて、目には見えない山頂へのゲイトが開かれるの。もちろん開かれない場合だってあるわ。そんな時にはたいていすごい吹雪になるの。そしてついに山頂ではね...」


 


丁度そのころ、日の集落に隣人たちの救援が続々と到着するところであった。
この島では部族間の交流はいつも盛んに行われていたものの、これほどの大人数が一堂に会する事はこれまでほとんどなかった。懐かしさに浸る3人の賢者たちは一体結束を象徴する挨拶を交わす。
 
「あまりよろこんでばかりはおれんぞ。やっこさんたち、風に乗って案外早くやって来そうじゃて。」
 
ノエアウの予感はもちろんホオクイ、カラカムラも共に感じていた。太陽族の人々は遠路はるばる救援に駆けつけた隣人たちの労をねぎらい、分宿先のそれぞれの家屋では夜更けまで楽しげな笑い声が響いていた。しかし時は迫っている。すっかり疲れを癒した星族月族の人々もさっそく早朝の行事に加わって、アメツチミナスマルの歌の習得にみな余念はなかった。
 
アメツチニ イキトシイケル モノミナハ
ミナソノママニ ミスマルノ 
ウツクシキ ミタマナリ

さて、青の鏡の清い水で古式を執り行ったラニは、さらに清々とした気分となってまばゆい山頂を眺めていたが、はっとした。
 
「ケオ!侵略者たちは間もなく洋上に姿を見せるわ!急がなくっちゃ!天候は上々、ゲイトはもちろん開いているわ!ここからはね、雪の世界、この真っ白な大きな丘を登りきったところがいよいよ山頂よ!そこにとても大きくてすべすべとした石がある筈、それがこの水晶の封印を解く祭壇なの!さあケオ、行きましょう!」

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完全なる静寂の中にラニとケオの声が響いている。生まれて初めて見る雪に思わずはしゃぐラニとケオである。青の鏡を取り囲むようにして3つの小高い峰が天へ延びているが、浮揚する石は明らかにその中のひとつへと続いている。その峰の頂きこそが目指す地点であることをラニは容易に知ることができた。

「この3つの丘はね、月の一族、星の一族、そして私たち太陽の一族を表わしていてね、青の鏡を守るように取り囲んでいる。青の鏡は光の象徴・・・こんなところに私たちの使命の雛形があったのね・・・」

聖域の核心たるこの山頂域は万年雪に覆われている。表面の積雪の下には永久凍土が横たわり、寒暖の差によってわずかに溶け出す太古の水が青の鏡をつくりだしていた。
 
夢中で雪と戯れるうちにも明らかにこの場の波動が今までのものとは違っていることにラニは気づき始めた。確かにその気高い雰囲気と澄み切りわたった空気には、準備の整った者以外をことごとくはじき返してしまうような力が満ちている。ラニの胸にはその力が歓喜となって響いている。

「ケオ、ついに来たのよ私たち!もうすぐ山頂よ!アロハはしっかりと導いてくれたわ。そうよ、私、あの夜まで、なぁんにも知らなかったんだから。不思議でしょ、ねっ、ケオ!」

すべてが順調だった。アロハに身をゆだね、何の知識も持たないままにここまでやって来ることができたのだ。ケオは少し先で舌を出し、大きく肩で息をしている。さすがにこのあたりの空気はかなり薄かった。

変化が訪れた。雲行きがおかしい。風も吹き始めた。
たちまちにして暗雲天を覆い、ちらちらと白いものが舞い始めたかと思いきや、激しい吹雪が巻き起こった。すっかりマントを脱いでいたラニは大急ぎで身をくるみ、内側から両手で胸元を閉じ、あごをしっかりひいて風と雪が入らないようにしながら上って行くが、みるみると雪かさはまし、踏み出す一歩一歩が深く沈みこんでなかなか思うように進めない。ほとんど目は開けられないし、見ようとしても雪にさえぎられて視界は極度に狭かった。

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「ケオ、ゲイトは確かに開いたのよ!これは封印をとくためにこの私たちが通らなければならない最期の試練ね!ケオ、がんばろっ!」

その言葉を試すかのように吹雪はさらに容赦なくラニとケオに吹き荒ぶ。ラニは腰まで雪に埋もれ、何度も転んだ。向かうべき方向を見知ることは今や到底不可能で、ただ高みへ高みへと向かおうとした。

息が切れ始めた。ほほが切られるように痛かったがすでに麻痺してしまった。何度も立ち止まっては何度も奮起し、わずかでも一歩を踏み出しているつもりだった。息が荒らいできた。時おり気が遠くなって慌ててケオにすがりついた。そのたびにケオはラニの凍てついた頬を舐めてくれた。

しかしそんなことを何度が繰り返すうち、ついにラニはケオに寄りかかったままもう二度と立ち上がれなかった。

「ケオ、私もう駄目みたい...山頂はどこかしらねえ...ケ...オ...」

轟々と鳴る吹雪も止み果てよとばかり、ケオは天に向かって吼え、雪の中に埋もれたラニのマントの折合わさった胸元を噛み、渾身の力をもって引き摺り始めた。しかし試練はいっそう過酷なものとなってゆく・・・







ラニが目覚めたのは静謐の中であった。

ひんやりとした感触に思わす顔を振ったのだろう、たちまちにして覆いかぶさっていた雪が払われ、薄明りの中にこの世のものとは思われぬ光景が出現した。

自分が一体どのようにしてここにたどり着いたのかは覚えていない。こんなに深い雪に覆われているのにもかかわらず体はぽかぽかとしている。それはケオが全身でラニを抱きくるんでいるからであった。雪を掻いてその毛に触れる。ケオはまだ目を閉じていた。

天空にはまだ沢山の星が瞬いていて、しかもその数たるや今までのラニの記憶にはまったくないものである。いたるところから流星が湧き出るように飛び交い留まるところを知らない。星々の明るさ大きさ色合いも千差万別で、単体のもの集合体となっているもの実にさまざまである。

ラニははっとしてすばるを探した。クプアの言った通り一晩天球をめぐったであろうその星団は遥か彼方、西の水平線に身をゆだねようとしていっそう大きく明るく輝いていた。全天の色合いは刻々と変化し、しかしその変わり目がどこなのかは見定めがつかないけれど、東の方はすでに薄くれない色に移りつつあった。

「ケオ!ケオ!ほら起きて起きて! もうすぐ日の出よ!ついに来たのよ!これでいよいよ封印が解かれるわ!」

ケオはまったく反応を示さぬまま横たわっている。

「ケオ......?!」

ラニはすべてを理解した。
一体どのようにして自分が今無事にこの山頂に立てたのかということを。

大つぶの涙がぽろぽろと零れ落ちる。ケオの太い首を抱え、ひざに乗せて静かに頭をなでてやる。満ち足りた安らかな顔に何度も何度もほお擦りした。

「ケオ、ご覧、お前のお蔭でね...ほら私の言ったとおり大きな石の祭壇よ。今からね、もうすぐ日の出だからね、この水晶を持って、私あそこに立つからね、しっかり見ててよ、ねっケオ...そうするとね、あのすばるが沈んですぐにお日様が昇るでしょ、それがね封印の解かれる合図なの。一年でもこの数日しかないのよね。もうそろそろよケオ、私、行かなくっちゃ...」

ラニは水晶を胸に押し当て、静かに立ち上がって、祭壇へ歩み寄って行く。東の空はすでに萌えるように明るく、幾条もの光線がほとばしり出ている。風は全くない。あたり一面にアロハが満ち満ちている。完全なる静寂の中で、ついにラニは水晶を頭上に掲げた。

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一晩中水晶に降り注いでいたプレアデスの光がこの聖域の特殊な磁場の中で徐々に真新しい太陽光へと移り変わることで封印解除のプロセスが開始される。

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プレアトロンの結晶体であるこの水晶の内部には、プレアデス中央部の巨大恒星の膨大な光子が螺旋状に実行プログラム形式で記憶されており、ひとたび封印解除のプロセスが開始されて、励起状態となったプレアトロンが振動数を大幅に上げ始めると、もはやこの結晶体自体が物質としての存在から半物質いやさらに精妙な存在形態へと変化するため、それを持ち運ぶためには肉体もまた精妙な形態と変容しなければばならないのである。つまり封印解除の達成はこの世を越えたところでしかなされ得ないのだ。

さてその次元において、まず外部の光子(今回は太陽からのそれ)のレベルに順応しつつ、プログラムが必要とする原子を周囲から引き寄せてゆく。そしてもっとも効率的にプレアデスの光子を放出できる有機体を形成し、時空を超えてプレアデス中央部の供給源と内部リンクするのである。これこそが古言の示す

“アロハ朽ち果てし時こそ、その光を灯せ"

”アロハに還りて 灯明を掲げよ“

の真意であった。


雲井を割りて
地を照らせ

闇に降り来て
世を照らせ

光の光

プロセスの最終段階では必ず残留結晶体が12個に分裂し、有機体を中心として同一の円軌道を回るようになる。

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さらに細分化した12個の小結晶体は交互に逆転の自転を続けることで中心の集合体の組成を安定させる働きをとるのだ。

今回の役目に関しては、なすべきこと、或いはその結果が大抵、あらかじめ理解することができたラニではあったが、最後の最後に味わうこの無上の恍惚感が全ての全てになった。

「結局、私自身の最後の封印を解くことだったんだ・・・太母さん、ありがとう・・・本当にありがとう・・・みんなのことが愛しくてならない・・・でも私はもう二度と人間には戻れない・・・私はこれからこの山に宿り、みんなを支える力となる・・・」

12個の水晶球が秩序だってそれの周りを回っているが徐々にその軌道が小さくなってゆくのが分かる。最後にほとばしり出ていた光が胸の部分に収束する。

しばらくそれはゆらゆらと前後左右にゆれていたが、やがて完全なる静止にいたりそして目を開いた。

それはただにっこりと微笑んだまま視線をやや落とし、身動きひとつしない。あたりには全く未知の、しかしたいそう芳しい香りが漂っている。

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「こんにちは!」

この山に宿る知性として働きは、プレアデスの光の化身を受け入れることから始まった。地球人タイプの男の子に見える。黒髪は緩やかにカールし澄み切った12個の紫の玉を首にかけているようにも見えるが、実際は12個が環状に浮かんでいるのだ。そしてそれらとまったく同質の瞳の色。

「久しぶりのこの世界、感じはどう?今回私があなたを呼んだわけはね、太陽の集落の光が今にも絶やされそうなの。人間であった私がこの光降る山で、このように進化してでしかあなたをお迎えすることが出来なかったの、手遅れになる前にねっ、今すぐ行ってあげて!」

男の子は一瞬にして、掻き消えてしまった。


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ラニの様子を全く感知できなくなってしまっている事に気づいたクプアは、すべてをアロハに託して不安を鎮めようとしていたが、さすがに侵略者たちの予想外の急接近には動揺した。さっそくノエアウのもとへ向かう。そこにはノエアウの他にもホオクイ、カラカムラと3賢者が膝を交えていた。表情はきわめて真剣である。

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「太母さん、いよいよ来よるぞ!」

ラニが秘石の封印を解きに行ったことをクプア以外に知るものはいない。

「さすがの太母さんも、ちょっと緊張しておるのお!ハッハッハッ!」

クプアの心はひとえにラニに向けられていた。一体どうしているのか、封印は解かれたのだろうか、この巡礼を完全なものにするためにアロハが、あえてクプアとラニの意識リンクを解除していることは十分わきまえているつもりではあるが、不安が怒涛のようにクプアに押し寄せてきた。

「さあいよいよ本番じゃて!全員、海辺に集合じゃ!」

北に面した、三日月のような入り江が、切り立った300メートル以上もの渓谷の中にすっぽりと納まった領域に太陽の一族の集落はあった。その入り江は沿岸へとのびる東西二つの岬によって完全に守られているため、波はいつも穏やかで、静まっていた。その東の岬の突端から入り江を渡り、西の岬の先端にいたるまでこの島の住人たちがびっしりと並んでいる。この奥まった湾が侵略者たちにとっての第二の産屋、つまりこの島の人々の手助けによって、侵略者たちがアロハに目覚めるべきところである筈だ。

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しかしこの仕事が大変難しいものであることは皆が感じており、失敗は即大惨劇となることは承知していた。中には十分にアロハを表わす自信のないものや、すでに抗しがたい不安におののいている者も実際あったが、多くの人々がアロハに対するかなりの理解を持っていたために強い一体感が皆のこころを満たしていた。

島の住人たちは、まんじりともせずに皆水平線を凝視している。
風が鳴き潮がわずかに騒ぐ。

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来たっ!

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そしてこの大軍を率いる男こそ

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カパア!






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大船団は速度を落とし、静かにしかし続々と入り江に入って来る。
島の住人たちはそれを岬の上から或いは浜辺からじっと見詰めている。
一体どれはどの男たちがこの侵略船団に組み込まれているのだろうか?
夥しい数の船はびっしりと湾を埋め尽くし、褐色の男たちの荒らいだ息遣いが今にも聞こえそうである。

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ぴたっと船の進行が止まった。この入り江から全ての音が消え去った。

「カパア殿、一体これはどういうことでしょうか?彼らは予めわれわれの到来を知っていたかのように見えます!いかが致しますか?!」

「かまわん、1時間の猶予だけを与えよ。1時間後に任務を遂行する。」

先頭の船の男が大きな貝を吹き鳴らす。沈黙を破るその大音は湾内を隈なく振動させ余韻の中に太い声が響き渡る。

「大洋の覇者、リホ様の命により、今後この島は帝国の傘下に入り、その栄光と恩恵に浴するすることとなる!諸君は謹んでこの島を献上し、その選ばれた下僕となって大王に仕えよ!これより一時間、諸君に猶予を与える!代表の者は調印の準備にかかるがよい!」

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「カパアはかなりあせっておるのう・・・」

「本心の凌駕を恐れておる・・・」

「ありのままの自分をみとめておらんからのう・・・」

「うんにゃ、それが戦争孤児のあの子にはなかなか・・・」

「目の前で母親がのう・・・」

「辛い思いをしておるのう・・・」

「あの子には先王マオがすべてじゃった・・・」

この静寂の中に時は流れるのだろうか?
渚に打ち寄せるさざ波だけが繰り返された。







「カパア殿、いかが致しますか、そろそろ時間です。住民たちは依然として微動だに致しません」

「上陸しろ。女子供は捕らえ、男どもは迷わず粛清しろ。」

このカパアの指令は速やかに手信号によって次々と侵略船団全体に伝えられた

「進め!」

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凪いだ水面を揺るがすような号令が響き渡った。方々から吹き上がる大貝の音とともに侵略大船団は一斉に前進を始めた。







「アー」

そよ風のような歌声があちこちに沸きあがる。はじめは点々にこだますアの歌声が次第にまとまり巨大な波動となる。入り江全体は精妙な振動を始めた。

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アーと開いた音が次第にメーと広がり、ツーと昇ってチーと下る。

それまでの静まりきった空間が今や躍動するエネルギーに溢れ、ついにアメツチミナスマルの歌が侵略者たちの前に発現する。

アメツチニ イキトシイケル モノミナハ
ミナソノママニ ミスマルノ
ウツクシキ ミタマナリ




一陣の風が水面に白波と砕けたか、たちまちにして暗雲上空に湧き、吹く風のますます強く激しく、入り江は完全に闇に閉ざされ日の光届かず、霹靂から下る渦は一気に海を吸い上げ始めた。

アメツチニ イキトシイケル モノミナハ
ミナソノママニ ミスマルノ
ウツクシキ ミタマナリ

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  1. 2007/05/07(月) 19:16:48|
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